カラオケは「歌う」から「応援する」時代へ:GENDA(9166)が「応援経済」でカラオケ市場を再定義する戦略
日本のエンタメ業界を変革する、あの企業のカラオケ戦略
GENDA(9166)という社名を聞いて、すぐにピンと来る方は少ないかもしれません。しかし、「GiGO」というゲームセンターや、人気キャラクターのクレーンゲームを見たことがある人は多いのではないでしょうか。GENDAは、M&A(企業の合併・買収)を積極的に活用し、アミューズメント施設やカラオケ事業を次々と買収することで、わずか数年で業界の主要プレイヤーへと急成長した、非常にユニークな企業です。
GENDAはカラオケ事業に本格参入し、マレーシア発の「新感覚カラオケ店」を今後5年で20店舗に拡大する計画です。単なる店舗数の拡大ではありません。成熟した日本のカラオケ市場を、若者や訪日外国人を取り込む「新しいエンタメ空間」へと変革する、GENDAの野心的な戦略の一環です。
投資家の皆さんであれば、「なぜ、今、カラオケ市場に参入するのか?」「GENDAのカラオケは、何が違うのか?」と、その意図を知りたいと思われることでしょう。この記事では、GENDAの挑戦を解説していきます。同社の企業セグメントから、カラオケ事業が持つ真の価値、そして今後の成長戦略まで、掘り下げて解説します。

- カラオケは「歌う」から「応援する」時代へ:GENDA(9166)が「応援経済」でカラオケ市場を再定義する戦略
- 日本のエンタメ業界を変革する、あの企業のカラオケ戦略
- GENDAの企業セグメント:「M&A」で世界を獲るエンタメ企業
- なぜ今「進化系カラオケ」なのか?:成熟市場に新しい風を吹き込む戦略
- 「応援」と「インバウンド」:GENDAが狙う若者とナイトタイムエコノミー
- M&A後のPMI戦略:買収した事業をどう成長させるか?
- あるエンタメ企業の社員が語る「新しいカラオケ体験」
- まとめ:GENDA(9166)は、「M&A」と「新業態」でエンタメ市場を再定義する
GENDAの企業セグメント:「M&A」で世界を獲るエンタメ企業
GENDAがなぜ今回のカラオケ事業に注力するのかを理解するには、まず同社のユニークな事業構造を把握することが不可欠です。同社は、主に以下の事業セグメントから成り立っています。
1. アミューズメント事業
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事業の屋台骨: ゲームセンター「GiGO」の運営が中核を担う、同社の基幹事業です。クレーンゲームやプライズ(景品)の企画・開発にも力を入れています。
2. コンテンツ事業
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エンタメの種を育てる: アニメやキャラクターといったコンテンツの企画・制作を手掛ける事業です。
3. その他の事業
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多角的な事業展開: 今回のテーマであるカラオケ事業や、飲食、不動産など、M&Aによって獲得した多岐にわたる事業が含まれます。
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専門的視点: GENDAの最大の強みは、「世界一のエンタメ企業」という明確なビジョンのもと、M&Aを成長戦略の中核に据えている点です。同社は、経営不振に陥った他社を買収し、そこに独自のマーケティングや運営ノウハウを注入することで、事業を再生・成長させてきました。今回のカラオケ事業も、この戦略の延長線上にあります。
なぜ今「進化系カラオケ」なのか?:成熟市場に新しい風を吹き込む戦略
日本のカラオケ市場は、長年の成熟期を経て、新たな局面を迎えています。GENDAがこの市場に参入する背景には、明確なビジネス上の合理性があります。
1. コロナ禍からの回復とインバウンド需要
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市場の再活性化: 新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだカラオケ市場は、行動制限の緩和と共に回復傾向にあります。さらに、インバウンド(訪日外国人)の増加は、カラオケという日本独自の文化体験への需要を大きく押し上げています。
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専門的視点: GENDAは、この市場の回復と成長トレンドを捉え、既存のカラオケ店とは一線を画す「新業態」を投入することで、競争優位性を確立しようとしています。
2. 顧客層の多様化と新しいニーズ
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若者や外国人のニーズ: 従来のカラオケは、主に歌唱を楽しむ場でした。しかし、SNS世代の若者や外国人観光客は、「体験」や「コミュニケーション」を重視します。
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専門的視点: GENDAは、第一興商のような「大人空間」とは異なる、「若者」や「インバウンド」をターゲットにした、新しい「参加型エンタメ空間」を創出することで、市場の空白地帯を狙っています。
「応援」と「インバウンド」:GENDAが狙う若者とナイトタイムエコノミー
GENDAが展開する「新感覚カラオケ」のコンセプトは、非常に先進的です。
1. 「応援経済」の導入
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歌唱への「いいね」: 「応援受けたらポイント」といった仕組みは、ライブ配信やSNSでの「投げ銭」文化をカラオケに持ち込んだものです。これは、歌唱者が歌声を披露し、それを聴衆が応援することで、ポイントや特典を得られるという、新しい「応援経済」のカラオケ版と言えるでしょう。
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専門的視点: この仕組みは、若者の「承認欲求」を満たし、カラオケを単なる歌唱から、人と人が繋がり、盛り上がりを共有する「ソーシャルな体験」へと進化させます。これにより、リピート率の向上や客単価の増加が期待できます。
2. ナイトタイムエコノミーとインバウンド戦略
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夜間の活性化: GENDAは、今回の新業態を、ナイトタイムエコノミー(夜間の経済活動)を盛り上げるための戦略と位置づけています。カラオケは、夜間のエンタメとして、インバウンド需要の取り込みに非常に有効です。
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専門的視点: マレーシア発のノウハウを導入することで、GENDAは、日本のカラオケにはないユニークなサービスを提供し、外国人観光客に「日本でしか味わえない体験」を提供することで、強力な集客力を生み出そうとしています。
M&A後のPMI戦略:買収した事業をどう成長させるか?
GENDAの強みは、単にM&Aで事業を買収するだけでなく、その後の「PMI(Post Merger Integration)」、つまり買収した事業を統合・成長させる能力にあります。
1. 独自のノウハウの注入
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デジタル技術の活用: 今回のカラオケ事業でも、GENDAは、アミューズメント事業で培った顧客データ分析や、オンラインとオフラインを連携させるデジタルマーケティングのノウハウを注入することで、事業価値を最大化します。
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専門的視点: GENDAは、M&Aを「事業の取得」ではなく、「事業価値を向上させるための投資」と捉えています。買収したカラオケ事業の強みを活かしつつ、GENDA独自の付加価値を加えることで、競合との差別化を図ります。
2. ポートフォリオ経営の強化
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シナジー効果: カラオケ事業とアミューズメント事業は、顧客層や立地が重なる部分が多く、相互に顧客を誘導する「シナジー効果」が期待できます。例えば、ゲームセンターで遊んだ若者が、そのままGENDA系のカラオケ店に流れるといった好循環が生まれる可能性があります。
あるエンタメ企業の社員が語る「新しいカラオケ体験」
フィクションのストーリーです。
私は、GENDAの事業開発部門で、今回のカラオケ事業の立ち上げに携わりました。
日本のカラオケ市場は、大手2社がシェアを占め、新しい風を吹かせるのが難しい状況でした。「どうすれば、この成熟した市場に新しい価値を生み出せるか?」と、私たちは日々議論を重ねました。
そんな中、私たちは、海外のカラオケ市場に目を向けました。特に、マレーシアで見た「応援を受けたらポイントがもらえる」というカラオケの仕組みは、私たちに大きな衝撃を与えました。それは、歌が上手い下手に関わらず、参加者全員が楽しめる、全く新しいエンタメ体験でした。
私たちは、このコンセプトを日本に持ち込むことを決意しました。しかし、日本のカラオケ文化にどうフィットさせるか、試行錯誤の連続でした。システム開発チームと何度も議論を重ね、SNSでのシェア機能を強化し、誰もが気軽に「応援」できる仕組みを導入しました。
そして、ついに新業態の店舗がオープンした日。
若者たちが、歌い手だけでなく、応援する側も一体となって盛り上がっているのを見たとき、私は、自分たちの挑戦が間違っていなかったと確信しました。ある女子高生は、「歌が苦手でも、友達を応援するのが楽しい!」と笑顔で話してくれました。
私たちは、カラオケを単なる「歌う場所」から、「みんなで盛り上がる場所」へと変えることができたのです。これは、私たちの会社が目指す「世界一のエンタメ企業」への、非常に重要な一歩だと感じました。
まとめ:GENDA(9166)は、「M&A」と「新業態」でエンタメ市場を再定義する
GENDA(9166)のカラオケ事業戦略は、M&Aによって事業規模を拡大しつつ、そこに独自のマーケティングやデジタル技術を注入することで、成熟した市場に新しい価値を生み出す、非常に合理的で将来性の高い戦略です。
この戦略の核心は、「応援経済」や「インバウンド需要」といった新しいトレンドを捉え、既存のカラオケとは一線を画す「参加型エンタメ空間」を創出することにあります。これにより、GENDAは、競合との差別化を図り、持続的な成長を確実なものにしようとしています。
投資家の皆さんにとって、GENDAは、M&Aを成長エンジンとし、常に新しいエンタメの形を追求する、非常に魅力的で将来性の高い企業です。今回のカラオケへの挑戦が、今後どのように企業価値の向上に繋がるか、その動向を注視していくことで、その成長の軌跡を実感できるでしょう。
あくまで個人的な見解であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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