goldeneggs-investment’s diary

初心者や中級者にむけて投資ニュースや個別株について解説していきます。 一緒に「金のたまご」を育てて、 人生100年時代の安心と今から豊かな未来を築きましょう!

なぜ今、NVIDIAは自社CPUを開発しつつ、富士通の「MONAKA(モナカ)」に賭けるのか?

 

 

 

 

 

 

富岳の技術が世界を変える:富士通(6702)とNVIDIAが挑む「超省エネAI半導体」共同開発戦略の深層

 

AIの覇者NVIDIAが選んだパートナー、富士通の真価とは?

今、テクノロジー業界で最も注目すべきニュースが飛び込んできましたね。AI半導体の世界王者、米NVIDIA(エヌビディア)が、日本のIT巨人、富士通(6702)と手を組み、次世代AI半導体の共同開発に乗り出すという発表です。単なる企業間提携ではなく、日本の技術力が世界のAIインフラの未来を左右する可能性を秘めた、壮大な挑戦の始まりを意味します。

この協業の中核にあるのは、富士通が国の基幹スーパーコンピューター富岳」で培ってきたCPU(中央演算処理装置)技術と、NVIDIAが持つ世界トップのGPU(画像処理半導体)技術の融合です。両社のチップを高速接続し、特に「省エネルギー(省エネ)」「高効率」を極限まで高めることが目標とされています。これは、AIデータセンターの消費電力問題が深刻化する中、日本の省エネ技術に世界が脚光を浴びせている証拠です。

投資家の皆さんであれば、「なぜ、NVIDIAは自社でCPUを持つにもかかわらず富士通を選んだのか?」「富岳の技術がAI半導体にどう応用されるのか?」「この提携が、構造改革を進める富士通の収益構造にどう貢献するのか?」と、その背景にある緻密な経営戦略を知りたいと思われるはずです。この記事では、富士通の挑戦を徹底的に解説していきます。同社の企業セグメントの変遷から、共同開発戦略が持つ真の価値、そして今後の成長戦略まで、掘り下げて考察していきましょう。

 

 

 

 

 

富士通の企業セグメント:サービス・ソリューションに舵を切るIT巨人

富士通は、かつてのハードウェア中心のビジネスモデルから、サービス(Service)とソリューションを核としたビジネスモデルへと、大胆な転換を進めてきました。

 

1. テクノロジーソリューション事業(主軸)

  • 事業の中核: システムインテグレーション(SI)、コンサルティングクラウドサービス、そしてハードウェア(サーバー、ネットワーク製品など)の提供を行います。

  • 公共・金融・製造業: 長年にわたり、日本の公共機関、金融機関、大手製造業といった幅広い顧客層に基幹システムを提供しており、この強固な顧客基盤が、今回のNVIDIAとの協業においても重要な販路となります。

  • ユーレシア・米州: 海外事業も含まれ、グローバルでのサービス展開を加速させています。

 

2. サービスビジネスへの転換

  • 専門的視点: 富士通の戦略は、ハードウェアの「売り切り型」から、コンサルティングクラウドサービス、AIソリューションといった「継続課金型(ストック型)」のサービス収益へのシフトです。これにより、収益の安定性と利益率の向上を目指しています。

  • 富岳とCPU: 高性能コンピューティング分野は、ハードウェアの最先端であり、今回のCPU開発は、この技術力を「AIソリューション」というサービスに組み込むための、戦略的な先行投資と位置づけられます。

 

3. ユビキタスソリューション、デバイスソリューション(分社化・売却済み)

  • 旧事業: かつてはパソコン、携帯電話、電子部品なども手掛けていましたが、既に事業再編や分社化が進み、コア事業からのリソースシフトが完了しています。

pr.fujitsu.com

 

 

 

 

 

 

NVIDIAとの協業の戦略的意義:「富岳」技術とAIチップの融合

今回の富士通NVIDIAの協業は、単に高性能な半導体を作るだけでなく、日本のテクノロジーが抱える課題を解決し、世界市場を狙うという、複数の戦略的意義を含んでいます。

 

1. 「富岳」技術がもたらす究極の省エネ性能

  • 「富岳」の遺産: 富士通が開発に深く関わったスーパーコンピューター「富岳」のCPUは、その高い計算能力だけでなく、電力効率の高さでも世界的に評価されました。これは、富士通が長年培ってきた回路設計技術、特に省エネ技術の結晶です。

  • 「MONAKA(モナカ)」の野望: 富士通が開発中の次世代CPU「MONAKA」(回路線幅2nm、27年実用化目標)は、他社CPU比で電力効率を2倍にすることを目指しています。これは、AIデータセンターの巨大な消費電力問題に対して、極めて魅力的なソリューションとなります。

  • 専門的視点: AI半導体は、計算能力(スループット)だけでなく、消費電力あたりの性能(ワット性能)が重要です。NVIDIA富士通に期待するのは、この富岳由来の「省エネ・高効率」性能であり、これがNVIDIAGPUとの接続で「新たなレベルの省エネ」を実現するという共通のビジョンに繋がっています。

 

2. チップ高速接続技術による相乗効果

  • 異種チップの融合: 両社は2030年までに、富士通のCPUとNVIDIAGPU同じ基板上で超高速で接続することを目指します。

  • NVIDIAの技術: この技術は、GPUやCPUなど複数のチップをあたかも「1つのチップ」のように扱うことを可能にする、NVIDIAの高度なパッケージング技術に基づいています。これにより、チップ間のデータ転送速度が劇的に向上し、AI処理のボトルネックを解消します。

  • 「富岳後継機」への応用: このCPUとGPUの融合技術は、理化学研究所が30年に稼働を目指すスパコン富岳後継機」開発でも中核となります。スパコンという極限環境での技術実証を、そのままAIデータセンターや「フィジカルAI」(ロボット、車など)に応用できる点が、最大のシナジー効果です。

kabutan.jp

 

 

 

 

 

販路拡大とソブリンAI:協業がもたらす戦略的優位性

NVIDIA富士通の協業は、技術的なシナジーだけでなく、市場開拓と地政学的な要請(経済安保)という側面でも、大きな戦略的優位性を生み出します。

 

1. 富士通の「販路」がNVIDIAの市場を広げる

  • 厳格な顧客層: 富士通は、日本の製造業、金融、そして政府・公共分野に強固な顧客基盤を持っています。これらの顧客層は、システムの要求水準が「安全保障(セキュリティ)」「安定性」「省エネ性能」といった非価格要素において極めて厳格です。

  • 世界展開への足がかり: NVIDIAは、富士通との提携を通じて、この厳格な日本の顧客層での実績をテコに、そのAI半導体世界展開に弾みをつける効果を狙っています。日本の製造業の現場で鍛えられた省エネ・高効率AIは、世界中の産業界で競争優位性を持つことになります。

 

2. 「ソブリンAI」という地政学的要請への対応

  • 経済安保の観点: 近年、ソブリン(主権)AI」、すなわち自国のデータとインフラを使ってAIを開発・運用することの重要性が高まっています。

  • 富士通の貢献: 日本のシステム構築で実績があり、政府・安全保障分野にも納入実績のある富士通との提携は、NVIDIAにとって、日本における「ソブリンAI」インフラ構築の足がかりを築く上で、極めて重要な意味を持ちます。これは、他社のCPUメーカー(インテルクアルコムなど)との提携を広げる中でも、富士通が持つ「国策的な信頼性」への期待があるからです。

 

 

 

 

 

 

ある富士通スパコン技術者が語る「MONAKAへの魂の継承」

フィクションのストーリーです。

私は、「富岳」の開発に深く携わった技術者の一人です。

富岳が世界一の計算速度を達成したとき、私たちは単に「速さ」だけでなく、その驚異的な「省エネ性能」にこそ、日本の技術の真髄があると確信しました。当時から、コンピューティングの未来は、「いかに少ない電力で多くの計算を処理するか」にかかっていると感じていました。

高炉休止のニュースを聞いた時、私たち技術者にとっては、これまでの人生をかけた技術が、「鉄から水素へ」という新しいステージに移る、感動的な瞬間でした。

そして今、私たちはその富岳の技術の魂を、次世代CPU「MONAKA」に継承しています。MONAKAは、単なる速いチップではありません。私たちが設計で最もこだわったのは、電力効率を2倍にするという、一見すると不可能な目標です。

NVIDIAとの協業の発表は、私たちにとって「富岳」で培ってきた技術が、ついに世界のAIインフラの心臓部として認められた瞬間でした。NVIDIAのCEOが「新たなレベルの省エネ・高効率」を強調したとき、私たちの省エネ技術こそが、世界のAI業界が直面するデータセンターの電力危機を救う鍵になると確信しました。

この協業は、単なる半導体の開発ではなく、日本の技術者の「徹底的に無駄をなくす」という哲学が、AIという世界最先端の分野で、「Made in Japan」の価値を再定義する挑戦だと感じています。私たちは、このMONAKAとNVIDIAGPUを融合させ、フィジカルAIを通じて、世界中の工場、車、ロボットに、この高効率な知能を届けていきます。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ:富士通(6702)は、富岳技術を武器にAI社会を駆動するソリューション企業

富士通(6702)とNVIDIAのAI半導体共同開発は、富士通が長年培ってきた高性能コンピューティング技術、特に「富岳」由来の優れた省エネ性能が、世界のAIインフラにおける決定的な競争優位性となることを証明しました。

この戦略は、富士通のコア戦略であるサービス・ソリューション事業に、「AI半導体」という最先端のハードウェア技術を組み込むための、極めて重要な布石です。共同開発を通じて実現される「超省エネ・高効率」なAI半導体は、データセンター、ロボット、車といったフィジカルAI市場を切り開き、富士通高付加価値ソリューションの販路を拡大します。

投資家の皆さんにとって、富士通は、構造改革を経てサービス事業に集中しつつ、日本の国策技術(富岳)を武器に、世界のAI市場という巨大な成長分野に挑むポジティブな変革期にある銘柄として評価すべきです。このNVIDIAとの協業が、富士通企業価値と日本のテクノロジーの未来をどう形作るか、その動向を注視していくことで、その成長の軌跡を実感できるはずです。

 

 

あくまで個人的な見解であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己責任で行ってください。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 


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