メタプラネット総会 質疑応答レポート
経営陣の本音が明かされた全記録
株価下落への率直な回答、デリバティブ戦略の裏側、日本一の独立取締役比率──総会で交わされた真剣な対話を再現
質疑応答の流れ
怒涛のプレゼンテーション(プロジェクトNOVA、MARS・MERCURY、クレジットカード、JPYC提携)が一段落した後、総会は審議フェーズに入った。メガトン級の発表が連発された直後とあって、質問も白熱。時間内に質問できなかった株主向けには、会場配布のQRコードから質問を提出できる仕組みが用意され、後日ウェブサイトで回答が公開されるとのアナウンスもあった。
Q1:株価下落について
経営陣はまず、中東情勢の激化など世界的に困難な状況が続き、あらゆる資産価格が影響を受けている現実を率直に認めた。損失を抱える株主の苦境に対して真摯に受け止める姿勢を見せた上で、今後の方針を明確に語った。
ビットコイン上で行われるあらゆることの「インフラ層」に自らを組み込む。収益と利益率を向上させ、さらに多くのBTCを購入し、揺るぎないミッションである「1株当たりBTC」を増やす。
さらに踏み込んだメッセージが続いた。
「価格はコントロールできない」と正直に認めた上で、企業価値の創造にコミットする姿勢。ごまかしのない、非常に誠実な回答だった。

Q2:デリバティブ戦略の詳細
この質問への回答から、同社のデリバティブ運用が表向きの説明よりもはるかに複雑であることが明かされた。
単純なプット売りだけではなく、下落リスクのプロテクション(保護)としてプット買いを組み合わせた「プット・スプレッド」を構築している。これにより、ポートフォリオ全体のリスクをしっかりヘッジしている。
プット・スプレッドとは
プット・スプレッドとは、異なる行使価格のプットオプションを同時に売買する戦略だ。高い行使価格のプットを売り(プレミアム収入を獲得)、低い行使価格のプットを買う(暴落時の保険として機能)。これにより、インカム収入を確保しながら、想定外の大暴落時の損失を一定の範囲内に限定できる。
メタプラネットが「攻め」の資産拡大だけでなく、こうした緻密な「守り」のリスクヘッジを組み込んでいるという事実は、同社の運用チームの高度な専門性を示している。
Q3:ガバナンス体制の変更
米国基準の「3委員会体制(指名委員会等設置会社)」への移行は、グローバルで最高水準のガバナンスの最前線に立つためだと説明された。
そして最も衝撃的だったのが、取締役会の構成についての発言だ。
取締役10名中9名が独立──日本の上場企業としては異例中の異例だ。経営(執行)と監督(取締役会)を徹底的に分離し、株主目線での透明性を最大化する設計。グローバル機関投資家からの信頼獲得にも直結する。
決議事項の概要
質疑応答と並行して、総会の正式な決議事項も審議された。注目すべきは第3号議案「定款変更(会計監査人の責任免除)」だ。法令の範囲内で会計監査人の責任範囲を明確化し、監査人が期待される役割を発揮できるよう適正な監査環境を確保する内容。ビットコインという最先端の資産を大規模に扱う企業だからこそ、盤石な監査体制の構築が不可欠であり、「攻め」の戦略を根底から支える「守りの要」を固めた形だ。
質疑応答から読み取れること
今回の質疑応答から浮かび上がったのは、3つのメッセージだ。
第一に、経営陣の誠実さ。株価下落という痛い質問に対して、言い訳や楽観論で逃げず、「コントロールできないものはできない」と認めた上で、コントロールできる企業価値の創造に全力を注ぐと明言した。
第二に、運用の高度さ。プット・スプレッドを用いたリスクヘッジは、BTCインカム事業の収益(84.6億円)が単なるギャンブルではなく、計算されたリスク管理の上に成り立っていることを示している。
第三に、ガバナンスへの本気度。10名中9名が独立取締役という構成は、日本市場で最も厳格な水準。これはグローバル機関投資家の参入障壁を下げる意味でも、長期的な企業価値向上にとっても極めて重要だ。
連載シリーズ 第6弾
前回:プロジェクトNOVA+JPYC提携の全貌
次回(第7弾):メタプラネット総会に行ってみた!現地レポート&株主優待まとめ